タイ チェンマイ カレン族村トゥンルアン その二

平成20年6月15日


 じつは私たちがトゥンルアンに来れたのは、慧燈財団の事務局長のはからいあってのことでした。

 慧燈財団の奨学金制度で佐賀県の龍谷短期大学に留学した経験もある、この村出身の女性が事務局長の夫人であったことから、今回の訪問が実現しました。

 一般の観光客は受け入れていないので、宿泊施設などはなく、夜はご夫人の実家に泊まらせていただきました。

 電気は来ていますが、水道はなく、小川から清水がひかれています。

 ご夫人が佐賀に留学中、吉野ヶ里遺跡を訪れたおり、まるでこの村とそっくりだという感想を持たれたそうです。文化人類学的にたいへん興味深い場所です。

※民族衣装の布を織る女性。機織は、この村の女性が何より先におぼえるべき仕事だそうです。染色から縫製まで、全て手作り、天然素材でつくられます。
※村の一画にある大事な装置。さて、いったい何につかわれるものでしょうか。ヒントは、周りに柵が張り巡らされていて、誰も手を触れられないようにしてあること、中央の大きな金たらいには水が入っていて、雨期である今はけっこうたまっていたこと。答えはトゥンルアン村の人にきいて下さい。

※全て食べ物は薪の火で調理されます。夫人のお父様より自家製のお酒をふるまわれました。ご飯はタイ米と違い、何とジャポニカ米らしく、粘りがあり、おにぎりもつくれるということです。おかずはナマズ。肉厚で脂がのっていて、鯖の塩焼きのような味です。 ※これはおそらく米を脱穀するものだと思われます。あまりにもいろいろな興味深い器具がそこら中にあるので、ひとつひとつをいっぺんには覚えきれません。恵泉女学院の生徒たちがフィールドスタディで毎年長期滞在するそうです。
※家の後ろで飼育されている豚たち。村では女の子が生まれると必ず豚を飼わなければならないしきたりがあるらしく、結婚式のときにご馳走にするためだそうです。
※豚、豚、豚。基本的にバナナの木をスライスしたものを食べさせられている彼らですが、残飯など何でも食べます。人間の残したものは豚が食べる。カレン式エコシステムでしょうか。

※次の日は偶然田植えの日に当たりました。その前夜、昨年の収穫を精霊に感謝する男だけの儀式に参加しました。左から二人目が長老です。長老たちは家々を全てまわり、さいごにこの家に来ることになっていましたので、ずいぶん長いこと待ちました。 ※チェンマイのコンサートでも演奏したディジュリドゥで、村の人たちと交流をはかりました。はやいテンポで吹くより、遅めのテンポでゆったりとやる方が受けがよかったのが印象的でした。村の男性が試し吹きすると、見事に音が出ました。
※木村が整体などの治療が出来るとわかると、村人たちがよって来ました。ここが痛い、あそこが調子が悪いと、行列をなして順番を待ちます。
※長老が来て、皆の衆が集まると、儀式が始まります。お酒がどんどんまわってきて、酔いつぶれそうになります。眠たくなると、「噛み茶」と巻き煙草で眠気を覚まします。なぜかこの二つが中枢神経に効いて、もうろうとした意識がしゃきっとするのが不思議でした。

 儀式に参加していた若者たちに、一枚写真を撮ってくれとせがまれました。彼らは英語を話し、日本のことに興味を持っているようでした。この村は日本と関係が深いのです。現在もそうなので、もしかすると古代にも・・・などと果てしない想像の世界に誘われた夜でした。

 チェンマイ市街からわずか二時間ほどの場所なのに、時間の流れから、話す言葉まで何もかも違います。来るべき多元的な世界秩序を感じさせる夜でもありました。


このページのトップへ  前のぺーじへ top pageへ 次のページへ
Copy Right.Tera Association.2008
文章・画像はテラの会に属します