木村天山旅日記

  マニラの悲劇・衣服支援

  平成21年9月 

 

マニラの悲劇・衣服支援 第8話

実は、私は、胸が、悪いと、言う。

最初は、何のことか、解らない。

 

そして、私を洗面所に、連れて、タンを吐く。

何度か、吐いた。

いつもは、出るのに・・・

 

つまり、血痰が出るというのである。

そして、右の背中が痛くて、あまり、食欲がなく、眠る時間も、短い。更に、時々、熱が出るというのだ。

 

胸に、小さな、なんとかがあるの

その、なんとかが英語であるから、私は、解らない。

 

ガンということ

そうだと思う

検査した

その後は、検査していない

 

つまり、一度は、検査をして、胸に、小さな、ある物が見つかったのだ。

 

血液の検査は、したの

していない。お金無い

 

私は、彼女の両手のひらを、見た。

手相である。

だが、別段、異常は無い。ただし、今は昔と違い、手相で、ガンと判断するのは、難しい。

 

そして、彼女は、衣服を突然脱ぎ始めた。

 

見て欲しいの

 

全裸になり、私に、体を見せた。

そして、股を開く。

 

これは、挑発か・・・

いや、違うようである。

 

ここ、変なの

何が

濡れないし、縮まない

 

濡れないは、解るが、縮まらないとは・・・

 

つまり、締まらないということか。

 

見て欲しい

私は、彼女の、性器を見た。そして、驚いた。22歳のものではない。すでに、60歳程度、つまり、老いているのである。

どうして・・・

 

先生、私は、濡れないから、唾をつけるの

と、彼女は、指で、唾をつけた。

そして、自分で、両乳房を、刺激する。

 

これでも、縮まらないの

 

私は、彼女の性器に指をあてた。

そして、少し中に指を入れた。

驚いた。

固いのである。

そして、中ほどまで、指を入れてみた。

これは、若い女のものではない。

 

それほど、多くの女性を知るわけではない。私は、相学、つまり、手相、人相の、相学から、女性器について、知っていた。

 

中ほどまで、すでに、潤い無く、固くなっている。

膣壁が、擦り切れているようだ。

長い売春をしていた、女性の状態である。

 

かろうしで、奥の方は、少しの潤いがあった。

どう

どうもなにも、答えられない。

 

私の変なの

変だとも、言えない

私は、沈黙した。

 

日本人の、客を取っていた。

日本人は、優しいからと、言う。

おじさんから、おじいさんまで。特に、おじいさんは、いいと、言った。

確かに、おじいさんなら、完全勃起しなくても、受け入れられる。すでに、入り口が、少し開いているからだ。

 

私は、タバコに火を点けた。

それで、彼女は、衣服を着た。

挑発したのではなかった。

 

彼女は、それ以上、追及して聞かないのが、幸いだった。

 

そして、次に、私に、媚を売る。

あのー服買って欲しいと、はじまった。

 

一緒に、買いに行ってくれる。ロビンソンに

ロビンソンは、まだ、開いてないよ。十時からだ

 

一緒に行ってくれると、聞く。

私は、じっと、彼女の顔を見た。こうして、日本人の男に、たかっているのだと。

 

500ペソくれたら、自分で、買いに行くよ

私は、答えなかった。

しかし、気まずく、明日帰るから、お金は、あまり無いと、言った。

 

そして、今夜も、この子と、過ごすのが、苦痛になってきた。

すると、察したように、私、これで、バイバイしてもいいよと、言う。

 

そう

うん、バイバイするよ

いいよ

 

少しホッとした。

続けて、100ペソくれると、言う。

 

交通費

交通費か

 

お金のある人から、お金を貰うことは、悪いことではないとは、多くのフィリピン人である。

 

それに、細かいの、ないし・・・

日本人のようなことを言う。細かなお金がないと、言う。私の上げた、1500ペソしかないのだ。

 

私は、100ペソを出した。

ありがとう

 

彼女は、立ち上がり、それじゃあ、バイバイするね

うん

すっーと、部屋を出てゆく。

そして、立ち止まり、私に、私は、あのカフェにいるよと言う。それは、彼女の賭けなのである。自分を必要とすれば、カフェに来ると、思っている。そして、今までも、そうして、相手の気持ちを、惹きつけながら、客の心を掴んでいた。

 

少し、安堵した。

 

一緒にいて、何でもかんでも、たかられるのは、うんざりである。

だが、売春目的の人には、通用するのである。

 

まず、バイバイするよと、言われれば、惜しくなる。

そして、彼女の要求を飲む。

数日間の、恋愛擬似を楽しむのである。

 

しかし、彼女は、もう限界である。

女としての、使い道は、限りなく、遠くなる。

見た目が、若く、可愛く、スタイルが良いというだけ。

中身は、老婆である。

 

路上で寝るしかなくなる。