木村天山旅日記 

  チェンマイへ

  平成21年10月 

 

第1話

チェンマイに出掛けたのは、タイ王様の在位、60周年記念の年である。

1996年の、秋。

それから、何度も、チェンマイを訪れた。

今回は、五度目であろうか。

そして、コンサートは、三回目である。

今回の、コンサートは、私だけではなく、辻友子と、千葉真康が、参加して、総勢、四名の団体である。

追悼慰霊と、衣服支援と、コンサートの、三本柱である。

バンコク経由の、チェンマイ行き、タイ国際航空を利用した。

その日の朝に乗り、チェンマイには、現地時間で、七時前に到着する。

日本時間より、二時間遅いのであるから、日本時間では、夜の九時に到着である。

最初の問題は、衣類の重さである。

四名で、無料で積み込める量は、80キロ。

それは、80キロ目安に、バッグ、四個に詰めた。

だが、80キロ以上はある。

それを、受付の、お姉さんが、見逃すか、否かである。

更に、私は、二つの、バッグに、子供物を詰めて、機内持ち込みを、謀った。

四人が、成田空港で、合流し、搭乗手続きを行う。

さて、荷物を、秤に乗せる。

重い。

四個を乗せた。

すると、担当のお姉さんが、何と、小学生のように、紙の切れ端で、計算するではないか。

足し算である。

お姉さんが言う。

まだ、大丈夫ですよ。

えっー

内心、私は、間違っていると、思ったが、機内持ち込みの、バッグ、一つを乗せた。

すると、お姉さん、まだ、大丈夫ですよと、言う。

そこで、機内持ち込みの、バッグ、二つ乗せられた。

オッケーである。

電卓を使わなかったお姉さんは、足し算を、間違っている。

しかし、それを、言うことは出来ない。

私は、重量オーバーのために、千葉君の、機内持込バッグに、空き状況を作ってもらっていた。

もし、オーバーの場合は、引き抜いて、その中に入れようと思っていた。

ところが、オッケーである。

何と、お姉さんは、いい人なのか。

自分の計算を、信じきっている。

更に、荷物の係りの人も、それを、信じて、ベルトに流す。

誰も、傷つけることなく、私たちは、重量オーバーの、100キロを、積む事が出来て、万歳である。

ちなみに、10キロオーバーの時は、8000円ほど、料金を払うことになる。

更に、千葉君の、ギターは、機内に持ち込む事が出来たのである。

順調である。

出国手続きも、万事よし。

免税店を眺めつつ、私たちは、搭乗口に、向かった。

勿論、私は、タバコを4カートン買った。タイには、1カートンしか、持ち込めないが、今回は、総勢四名であるから、一人ずつに持たせて、4カートンである。

さて、もう、出国手続きをしたのであるから、日本を出たことになる。

バンコクに到着して、外に出ることなく、入国手続きをして、国内線の、チェンマイ行きに乗る。

タイ航空だけあって、乗り継ぎが、スムーズである。

一時間ほどで、チェンマイに到着する。

約束の通り、出口では小西さんが、待っていてくれた。

辻、千葉、両人は、小西さんとは、初対面である。

挨拶をして、小西さんが、用意してきくれた車に、荷物を、積み込む。

信じられないほどの、荷物である。

辻さんの、大きな、バッグだけは、税関のおじさんに、呼び止められて、中を開けることになった。

焦る、辻さん。

その理由は、下着である。

旅先で、はき捨てできる、古い、下着を持ってきていたのである。

それを、見られると、声のトーンが、ソプラノになった。

コータが、私に、下着見られるの、嫌なんだってと、言う。

支援物資が、半分ほど、入っている。

問題はなかったが、閉めようとすると、閉まらなくなった。

積み込み過ぎて、閉まらない。

すると、辻さんは、その上に、ドンと、体を乗せたのである。

これには、周囲も、驚いた。

しかし、蓋は、閉まったが、衣類の端が、バッグから、出る始末である。

まあ、いいーー

ということで、小西さんの車に、積み込む。

目指すは、いつもの、ターペー門の前の、ホテルである。

予約無し。

この時期なら、空いていると、想定しての、ことである。

矢張り、部屋、三つは、空いていた。

850バーツで、朝食付きである。

2500円ほどで、朝食が付いている。

日本は、一人の料金であるが、あちらは、部屋一つ、幾らであるから、一人でも、二人でも、同じ料金である。

辻と、千葉、両人は、ワンベッドルームで、私とコータは、ツーベッドルームである。

ワンベッドといっても、ダブルベッドであり、二人は、泊まれる。

部屋に、荷物を運び入れて、改めて、ホテルのレストランで、小西さんに、二人を紹介する。

ちなみに、ホテルは、リニューアルしていた。

とても、綺麗になっていた。

中流ホテルになっているが、値段は、下流ホテル並みである。

私と、コータの場合は、その半額の、ゲストハウスに近いホテルに、泊まるが、今回は、二人のために、そこにしたのである。

チェンマイ、五泊は、ホテルを変えず、そこに宿泊することにした。