木村天山旅日記

バリ島へ 平成19年12月

第七話

7日の昼、私たちは、ウブドゥから、クタのホテルに戻った。

その日、一日、フリータイムである。ゆっくり、のんびりすることにした。

 

ウブドゥを抜ける頃から、空気が変わる。

山から海のものになる。また、騒音である。クタの車は、多い。

 

兎に角、暑い。

異常気象である。

とは、言うが、本当は、異常でも何でもない。これが、自然である。

 

海面上昇というのも、嘘である。水没するのは、別な意味である。

地球は、生きているのである。

たかが、人間のやることに、地球が左右されることはない。

左右されるのは、人間の方である。

 

地震が起これば、無に帰す。

到底、地球のやることに、適わない。

 

問題は、環境破壊する時、目に見えないものを、ないがしろにすることである。

 

石炭は、樹木の化石であり、石油は、生き物の、死骸の産物である。

山を切り崩すという行為は、そこに住むものたちの、存在を無にするということである。

つまり、多くの生き物を殺す。

命が大切なものが、人間だけである訳が無い。

 

また、重大なことは、地霊である。

地霊とは、そこに生きて死んだものの、総称である。

これを、無視すると、とんでもないことになる。

 

政治家、官僚、企業等々は、それを、知らないのである。

 

古代人ならば、山を切り崩すことは、神を切り崩すことだと、恐れ慄いたはずである。

 

すべてには、所作がある。

やも得ず、自然を開発する時は、それなりの所作が必要である。

 

 

さて、私は、夕方、少し日が翳り始めたので、マッサージに出掛けた。

フットマッサージならば、一時間で、50,000ルピアからある。約、600円程度である。

至る所に、マッサージ店がある。大半が、美容室と一緒である。

 

前回来た時に、親しくなった店もあるが、私は、新しく開拓しようと、ホテルの並びを歩いた。

言えば、本通ではなく、仲通である。

一番目に、目に入った店に入った。

 

フットマッサージを頼んだが、何と、前身マッサージを始めるではないか。私の発音が悪かったと思う。

タイマッサージになっていた。

バリ島でも、タイマッサージという言葉が使われる。

だが、バリ島風に、オイルを使用する。

 

オイルマッサージは、嫌いだったが、それが、感動ものだった。

凝りをほぐすのである。

指圧に似た、マッサージをしてくれた。

 

バリニーズで、27歳のマッサージ歴4年の女性である。

 

私は、そこに、帰国の日まで三回通った。

一時間、75,000ルピアである。約、850円である。

 

値段は、ピンからキリまである。

クタ通りに出ると、それが、100,000ルピアから、200,000ルピアになる。

1200円から、1400円程度である。

 

ここで、両替のことについて書く。

政府公認の両替が、一番安全である。

クタ通りには、多く、闇の両替がある。

そこでは、完全に騙しのテクニックがある。

金額が、大きいので、勘違いするのを、利用して、不正を行う。必ず、騙される。

 

手品のようなことをして、騙すのであるから、恐れ入る。

例えば、40枚を渡されたと思うが、数えると、30枚になっているのである。

手品である。

それはそれは、上手である。

 

はっきりと、解る不正が、二度あった。

私は、その都度、掛け合いに行った。

彼らは、私のような大声を嫌う。

仕方なく、不正を認めて、支払う。そうでなければ、彼らも、商売であるから、平然として、無視する場合が多々ある。

一度、手にしたものを、再度、やり直すということを、しない。

また、日本人が、不正に気づいていも、日本円に換算して、その程度ならと、諦めるということも、知っているのである。

 

両替をやる者は、ジャワ人が多い。バリニーズは、不正を行えないのである。

 

政府公認の両替に行くと、実に、機械的であるが、道端の両替に行くと、実に、ショーのような、雰囲気になるから、面白い。

その、スリルもあって、私は、道端の両替に行くこともある。

 

ただ、不正両替をする、彼らの気持ちは、痛いほど解る。

 

レートの良いところに行くと、必ず、手数料を取られる。

すると、何もレートなど良くない。

結果、政府公認の両替より、悪いことになる。

 

何度も言うが、必ず騙される。

 

さて、体についたオイルを、ホテルのプールで泳ぎ、取り去る。

心地よい疲れで、冷房の効いた部屋で、休む。

すると、夜の食事の時間になる。

 

食べることが、楽しみになる。

 

私は、一度、バリ島の日本食の店に連れて行くと、皆に言っていた。

それを、その日に、実行しようと思った。

いかに、バリ島の日本食の店が、頑張っているかを、見せたいと思った。

勿論、日本人観光客が、多いから、日本食の店が乱立したのである。

 

料金は、高いが、日本円に換算すると、日本の料金より、半額程度になる。

それも、割安感を感じさせる。

しかし、日本円に換算ばかりしていると、誤る。

バリ島の、現地料金を、把握することが、大切である。

 

数日間の観光旅行では、そんなことを、考えない。単に、バリ島を通過するだけであるから、お金を使う。それも、善し。

ただし、落としたお金は、大半が、バリ島の人には、行かない。皆々、搾取される。

 

夜、皆を、日本食のレストランに連れた。

結果は、美味しいという。

生ものを食べるのは、バリ島では、危険だが、日本食のレストランは、安全である。

 

寿司飯が美味しい。

味噌汁もいい。

刺身も、旨い。

 

目出度し、めでたし、である。

 

一度、ホテルに戻り、提案をする。

バリ島の、レディボーイショーを見るかというもの。

皆、行きたいと言う。

 

野村さん夫婦は、始めてのことで、奥さんが、おかまショーですかと、改めて聞く。

日本では、ニューハープと言うと、私。奥さんが、頷く。

その、奥さんは、ショーに目をそむけることなく、最初から最後まで、じっと、見ていたのである。

私は、大音量に、疲れ果てたが。

 

少し、ホテルで、休憩して、ホテル近くのバーに出掛けた。

ショーまで、一時間ほどある。

皆、それぞれの飲み物を注文して、ショーの始まるのを待つ。

 

レディボーイの裏側については、野中が、徹底取材している。