一度、ホテルに戻り、夕食時に、再び、テラハウスに出掛けることにした。
歓迎の食事会である。
三時間ほど、ホテルで、ゆったりと過ごした。
一度、ホテル並びの店に、水を買いに出た。
大型のペットボトルで、4000ルピアである。
しかし、確か、市場では、3000ルピアで買ったはずと、思いなおした。
バリ島では、観光客と見ると、必ずボラれる。
また、観光客用の、値段がある。
道で、売っている物も、200ルピアといわれて、250ルピアと、言い直されることも、多々あり。
安い物ならば、しょうがないと思うが、高い物は、交渉しなければならない。
後で、また、そのことについて、書くことにする。
その時、決して、日本円に直しては駄目。日本円に直すと、すべてが、安く感じられるからだ。
通り雨
幾度となくも
通り雨
バリ島潤す
これが雨季なる
川の音
昼夜変わらぬ
流れあり
耳鳴りの如く
何も音いらず
緑にて
浮かぶ如くに
花咲けり
咲いては落ちて
咲いては落ちる
二人が、バイクで迎えに来た。
マデさんと、マルタさんだ。
それぞれのバイクの後に乗り、テラハウスに出掛けた。
マデさんの、奥さんが、料理を作る。それを、奥さんのお姉さんが手伝う。
その、奥さんのお姉さんの、一人娘は、ジャカルタの医大で、学んでいる。その、学費を、女手一つで、賄っている。
夫が亡くなり、妹の側に住んでいる。
それで、私たちとも、交流するようになった。
味付けは、私達の好むものばかりである。
ホテルの厨房で、働く、マデさんの奥さんのお姉さんが味付けするという。
食事は、男達だけである。
女達は、それを手伝う。
一緒に食べたことが無い。
それが、礼儀らしいので、私も何も言わない。
確かに、私達の食べる料理は、ご馳走である。お祭りの時のようだと、思う。
主食は、米であるから、日本と同じ。ただし、米の種類が違う。
パサパサしている。タイ米に似る。
味と、香りも違う。それでも、米は米。
おかずと、米を食べるというのは、日本と同じ。
おかずが無い時は、塩などをかけて食べるという。
バリ島の人は、家族で食事をするという感覚がない。
食べたい時に、食べる。
だから、私達と食事をするのは、特別なのである。
お姉さんが作った、ケーキを頂き、今回は、アイスクリームまで、用意してあった。
本当に、ご迷惑なことだろうと、思う。
でも、皆、楽しそうで、嬉しい。
マデさんの、娘と、息子に、僅かなお土産を渡す。
娘さんは、中学二年である。
その娘さんが、明日の、ガムラン公演、初出演で、レゴンダンスを踊るというから、それでは、明日、アナンガサリ楽団の演奏を聴くことにした。
というより、一度、共演する、アナンガサリ楽団の演奏を、お客として、聴いてみたいと、思っていたから、丁度良い。
食事を終えて、また、バイクで送って貰った。
満腹感と、飛行機の疲れが出て、早々に、ベッドに着く。
酒も、飲みたくない。
疲れると、覿面に、酒が飲みたくなくなるのだ。
ただ、あまり早く寝ると、夜中に目覚める。
矢張り、深夜二時に目覚めた。
部屋の前の、椅子に腰掛けて、深夜のバリ島の風を、楽しむ。
これが、何とも言えずに、考え深くなる。
旅の間、一切の本は、読まないから、その分、考える。
考えが、言葉になる。それを、書くこともしない。
そのまま、空に、散らされる。
手書きから、ワープロ、そして、パソコンに変わったが、私は、何も変わっていない。ただ、余計な理屈を考えるようになった。
実に、馬鹿馬鹿しいものである。
だから、歌を詠む。
それも、ただ、流れる如くに詠む。
書き留めて、どこかに書いて、そのまま、消える。
残すという、こともしない。
死後、すべて、捨てられてよい。
もう一度、ベッドに着いたのが、朝の四時である。
二時間寝て、目覚めた。
六時である。
朝日を見る。
太陽の
光差し込む
驚きは
朝の風射る
バリ島の光
今日は、何もしない、一日である。
旅行は、ただでさえ疲れる。
無理すると、帰国した後で、大変になる。だから、無理はしない。
夜に、アナンガサリ楽団に行くだけである。
私の旅の楽しみは、マッサージである。
だが、バリ島のマッサージは、オイルマッサージが主流で、下手な人に当たると、覿面、疲れるから、よほど、注意して、決める。
ホテル沿いに、マッサージの店が多数あるが、今一つ、乗り切れない。
一時間の、オイルマッサージは、5万ルピアである。
ゼロを、二つ取り、500円。
タイマッサージで、安いのは、約300円である。
タイマッサージは、タイ式となっていて、検討がつくが、バリ島のオイルマッサージは、検討がつかない。
当たり外れが、大きい。
飛行機の足の疲れは、矢張りマッサージであるがと、思いつつ、水を買いに外に出た。
ホテル近くの店に行く。しかし、例の高い店ではない。
二子の姉妹のいる、店に入った。
4000ルピアと言うので、市場では、3000だと言うと、じゃあ、3000でいいと言う。
矢張り、言ってみるべきである。
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