木村天山旅日記

  ラオス・ルアンパバーン
  
平成21年6月 

 

第10話

トゥクトゥクの、おじさんに、1,5リットルの、水を一本差し上げて、お礼を言う。

チップなど、要求しない。

 

私は、荷物が、軽くなり、実に爽快な気分である。

空港に入る前に、セキュリティチェックがある。

 

ペットボトルを、あと、三本も、持っている。

駄目かと、思えたが、大丈夫。ちなみに、ペットボトルは、駄目な場合もある。

ラオスでは、飛行機にも、持って、乗れた。

 

また、来てください

警備の人に言われて、驚いた。

日本語である。

 

一時期、政府の観光担当の大臣が、日本にメッセージを出した。

ラオスは、何もない国ですが、自然があります。どうぞ、その自然を満喫するために、一度、訪れてください、というものだった。

 

それで、二週間滞在なら、ビザがいらないのである。

タイ、ベトナム、マレーシア、カンボジアも、そうだ。

日本人なら、ビザ無しで、入国できる。

 

これも、国力のお陰である。

 

空港内は、すべて、禁煙である。

この、長い時間を、禁煙である。

ああ・・・

といっても、我慢は、出来る。

飛行機の中も、禁煙である。

 

ただ、喫煙場所があると、吸いたくなる。

その、喫煙場所は、外である。

 

であるから、一度、入って、登場手続きをして、再度、外に出て、タバコを吸う。

そして、また、セキュリティチェックを通る。

検査官が、笑う。

出て入り、また、出て、入る。

 

それで、二度で、止めた。

時間が、早いが、出国審査を受ける。

待つことなく、30秒で、終わり。

そして、待合室に入る。

 

まだ、一時間半もある。

トイレ掃除の、おばさんに、水を上げて、話をするが、英語が出来ないので、笑うだけ、でも、私は、日本人ですは、伝わった、というより、着物姿であるから、当然である。

 

おばさんは、顔を合わせるたびに、微笑んだ。

 

私は、空港内で、働く人に、時々、色々な物を、差し上げる。

お菓子だったり、果物などである。

 

次に行くとき、あちらから、声を掛けてくれる。

それが、嬉しい。

 

タイの空港の、一階の食堂で、食べるものを選んでいると、突然、声を掛けられて、驚いた。

前歯の、抜けた、タクシー運転手である。

一度も、乗ったことはないが、妙に、私に話し掛けてきた、おじさんで、また、来たの、なんとかこんとかーー、と言う。

 

ああ、驚いた、である。

確か、彼には、タバコを上げた記憶がある。

 

ゴミ清掃のおばさんや、トレイ掃除のおばさん、セキュリティのお姉さんにも、覚えられていた。

 

中には、空港社員の、スーツ姿の、お兄さんにも、覚えられて、いつも、目礼される。

 

とても、格好よく、一度、トイレで、一緒になったときは、どういう態度がいいかと、悩んだ。

 

何か話そうとするが、言葉がみつからず、視線のみで、やり取り。

変な、雰囲気だった。

 

さて、いよいよ、搭乗である。

目の前に止まった、飛行機に乗る。

 

今、客を出して、少しして、私たちが、乗る。

トンボ帰りである。

そして、また、時間に関係なく、全員が乗ると、すぐに、動き出した。

 

安定飛行に入ると、早速、機内サービスが、始まる。

とても、不思議な、食事が出た。

乾燥肉のような、おかずに、もち米である。

 

少し硬い肉で、おつまみのような感じである。

それと、もち米を食べる。

 

周囲の人を見ていると、皆、残している。

私だけは、全部食べた。

 

時々、機長が、訛りのある英語で、途中報告をする。

全然、解らない。

 

ラオスから、タイ領内を飛んでいるはず。

下を見てもいいが、目眩がするので、止める。

ただ、目を瞑り、寝る。

 

そのうちに、下降をはじめて、着陸である。

別段、指導は、無い。というより、私に、聞こえないのかもしれない。

タイ語の、案内は、音楽のように、聞こえるし・・・

 

長い時間の、二泊三日が、終わった。

 

スワナプーム空港である。

また、タクシーと、交渉しなければ、ならない。

今度は、メーターオッケーと、決めて、乗り込んだ。

丁度、200バーツである。20バーツをチップで上げた。

 

五時前に、スタッフの滞在している、アパートに到着した。

スタッフも、丁度、学校が終わり、部屋に着いたところだった。

 

お互いに、顔を見合わせて、ため息を、ついた。

あーーーあ

よかった、よかった、である。

無事が、何より。