木村天山旅日記 

  チェンマイへ

  平成21年10月 

 

第6話

チェンマイでの、すべての予定を終えた、最終日は、お休みである。

一日、皆が、チェンマイの街を楽しむ日にした。

そこで、私は、市場行きを提案した。

様々な、市場があるが、私が前に一度、出かけた市場にした。

そこで、買い物をして、昼の食事をする、予定である。

ソンテウという、乗り合いの、バスに乗り、出かけた。

丁度、そのソンテウが、目指す市場に行くというので、助かった。

一人、40バーツ、120円である。

市場に到着した。

人で、溢れかえっている。

活気に溢れている。

私たちは、まず買い物をした。

私と、辻さんは、線香と、ローソクを目指していた。

千葉君は、香辛料である。

市場は、何でも揃っている。

さっさと、必要な買い物をして、さて、どこで食事にしょうかと、思った。

後で、市場から出て、その付近の店に入り、食事をしていれば、良かったと、思ったが、後の祭りである。

私たちは、というより、私は、皆のために・・・

これが、曲者。

皆のために、市場の地下の、大食堂に入った。

そこは、周囲に、店が並んで、そこで、買って、中央に置かれたテーブルで、食べる。

私たちは、一つの店で、ソーメンに似た麺に、好きな、具材を乗せて食べるという、何と言うか、解らない物を、食べることにした。

そして、私が一番先に、食べ始めた。

一つのテーブルを使用する。

私が食べていると、皆も、テーブルについて、食べ始める。

物を食べるというのは、気が食べることに、集中する。

さて、私は、それを、食べ終えて、チキンを食べたくなり、他の店を、覗いて歩いた。

その時、すでに、私の肩掛けバッグから、財布が、抜き取られていることを、知らない。

すべての店を、見回り、もう一度、ある店に、戻って、チャーシュー入りの、ラーメンを注文することにした。

その時である。

お金を出そうとした。

あれっ、無い。

財布が無い。

即座に、皆のテーブル行き、スタッフに、財布が無いと、言った。

それからである。

皆も、今の物を注文して、別の具材で、食べ始めていた。

ところが、私の声に、中断。

更に、市場の人たちも、集まってきた。

その中に、犯人もいるのである。

丁度、私が、歩いている時は、お客の少ない時であり、スリがいるような、状態ではなかった。

市場関係者の方が、多かった。

実は、財布には、タイバーツに交換した、紙幣、日本円にして、15万円程度あった。

これは、今までには、無い、金額である。

いつも、そんなに、両替しない。

今回は、二人の同行者を連れているために、多くの両替をしていた。

もしもの場合を想定してである。

大金であった。

そんな、額を持ち歩く方が、間違っていると、言われても、しょうがないこと。

食堂内を、くまなく、探してみる。

ある訳が無い。

市場の関係者が、盗んだのであるから。

ついに、市場の事務所へ行くことに。

だが、どうしょうもない。

外に出て、ツーリストポリスに向かうことにした。

だが、中々な、ソンテウの運転手が、理解しない。

ツーリストポリスなるものを、知らない。

しょうがないから、ポリスである。

そして、旧市街地のある、警察署に、向かった。

それは、ホテルに近い。

その間に、小西さんに、電話をする。

事情を話して、複雑なことになったら、小西さんに、来てもらうことにした。

それから、半日、私たちは、警察署で、過ごすことになる。

普通の警察と、ツーリストポリスを、巻き込んでの、一大事になった。

私と、スタッフは、警察官と、再び、市場に行き、現場検証することになる。

そして、結局、小西さんに来ていただき、そこで、調書を作って貰うことにした。

すべてが、終わって、夕方である。

皆、疲れきった。

本当であれば、買い物、食事をして、ホテルに戻り、それぞれ、タイマッサージなどを、楽しみと、私は、考えていた。

大金は、実に、惜しいが、それを、いつまでも、拘っては、いられない。

ちなみに、私は、市場の、食堂で、祝詞を唱えて、清め祓いを、行った。

勿論、皆の見ている前である。

奇妙なことをすると、現地の人は、思ったであろう。

私が、そんなことに、遭うことはなかった。

決して、そのように状態に陥ることはなかった。

何故、今回に限り、それも、大金を取られることになったのか。

魔としか、言いようが無い。

ゆえに、清め祓いである。

あの大金は、タイの人が、有に一年間、生活していかれる、金額である。

何せ、普通の人の給料が、一万円程度である。

コンサート会場の、支払いのお金も入っていたのである。

少しの注意をしていれば、それだけの、大金を持ち歩かない。

心に隙があったと、言われれば、それまでである。

更に、残念なことは、好きな街、チェンマイで、そういうことが、起きたということである。

実に、複雑な思いがした。

悔やんでも、悔やみきれないこと。

そして、忘れること。

私が、大金を所持したのは、今回一緒に来た、二人に、何か、問題があった時のことを、考えてである。

例えば、食中毒などで、病院に、ということになれば・・・と、考えたのである。

お金さえ、用意していれば、何とかなるという、思いである。