木村天山旅日記

  悲しみを飲み込んだハ
  
平成21年6月 

 

第2話

ハノイに出掛ける前に、泊まるホテルを、選び、予約していた。

私が、英語で、予約したのである。

なんとか、通じて、予約したのは、そのホテルが、一回だけ、無料にて、空港の送迎をするというからである。

 

だが、深夜到着する、ベトナム航空の、時間などが、伝わったのか不安で、コータに、再度電話をさせた。

それを確認しておいて、よかった。

 

はじめての、土地で、深夜に到着して、タクシーなどに乗るのは、実に危険である。

バンコクは、慣れているので、大丈夫だが、ハノイは、皆目検討がつかないのである。

 

さらに、ホテル料金は、ガイドブックの二倍の、28ドルである。

ガイドブックの情報は、古くなることが多々あるので、それで、決めた。

 

KIMURAと、パラカードを持つ男を、見つけて、安堵した。

迎えに来ていた。

 

タイと、同じく、ベトナムも、日本時間より、二時間遅い。

 

28ドルもするという、ミニホテルに泊まるのは、はじめてである。

バンコクでさえ、あの、スクンウィットの繁華街のゲストハウスで、500バーツ、約1500円である。

 

ハノイの街は、空港から遠い。

そして、夜なので、風景が見えない。

車は、次第に、田舎に向かっているように、暗い道を走る。

ホーチミンは、次第に、明るく、街に入るという、感じだが、ハノイは、違う。

 

ベトナムの首都である。

まさかと思いつつ、不安げに車の外を眺める。

しかし、コータは、大学時代に、一度ハノイに来ているので、平気である。

 

どんどん、暗くなるけど

大丈夫、街に向かっている、と言う。

 

車は、立派な日本車である。

運転手は、フリーのタクシーであった。ホテルからの依頼を受けて、仕事をしている。

 

忙しく、中々、彼女とも会えないと言った。それが、印象的だった。

つまり、仕事があるということだ。

 

街中に入っても、明かりは、それほどではない。

それに、高い建物は、無い。

 

北ベトナムの、中心であり、今は、ベトナムの首都であるが、そんな雰囲気は無い。

 

ホテルまでの道は、くねくねとして、中小路を通り、もう一度、通ることは出来ない、覚えられない道である。

 

細い通りに入り、ホテルに到着した。

後で知るが、その道も、ガイドブックに載るほど、有名な商店街であった。

 

フロントの男は、上半身裸でいた。

私たちが、入ると、急いで、シャツを着ようとしたが、私は、いいよ、いいよと、言ったので、そのまま、受付である。

 

しかし、チェックインをする前に、彼は、さて、何処に観光に行きますか、である。

ツアーの受付をするのである。

 

いやいや、私たちは、子供たちに、衣服を渡すために来たので、観光はしないと言うと、サンキューと言い、ようやく、パスポートを提示して、受付をする。

 

曰く、今部屋が、大きな部屋しかないので、そこに入ってください、そして、明日、部屋を、替わります、と言う。

 

本日のみ、特別扱いという、訳である。

 

案内された部屋は、五人が泊まれるほど、大きい部屋である。

 

そして、何と、私たちは、三泊、その部屋に泊まることになったという、幸運。

結局、部屋の移動はなかったのである。

 

エレベーターがないホテルの二階だったので、それも幸いである。

 

荷物を入れて、すぐに、食事に外に出た。

ホテル近くで、営業する、地元のレストランに出掛けた。

 

食べたのは、フォーである。

米の麺の、ベトナム名物である。

その店には、毎日、一度は、フォーを食べに行った。

 

そして、路上で売る、肉まんを二個買った。

 

ベトナム、ドンは、前回の時に、残してあったので、両替する必要はなかった。

今回、ドンは、安くなり、日本の一万円が、190万ドンである。

毎日、ドンは、安くなったから、得である。

 

ここで、整理しておくと、一万円が、190万ドン、千円が、19万ドン、百円が、1万9千ドン、10円が、1900ドンである。

 

私は、面倒なので、百円、二万ドンとして、計算した。

 

ペットボトルの水が、3000ドンからある。つまり、150円。

しかし、売り場によって、同じものが、3000ドンから8000ドンまであるから、迷惑である。

 

観光客と見れば、どこでも、ボルのである。

だから、コンビニに行き、本当の価格を知る。

だが、ハノイには、コンビニが少ない。

 

水は、安くはないが、他のものは、現地価格だと、安い。

 

チップの習慣はなかったが、次第に、チップというものの意識が芽生えていた。

チップを要求されるという、事態にも、遭遇した。

 

部屋に戻ると、すでに、日本時間では、深夜二時過ぎである。

だが、なかなか、眠られないのである。